先日書いた、ボランティア体験記の具体的内容を
お届けしたい。
訪問先:某NPO支援組織
Interviewee : 専務理事、事務局スタッフの方
まず、今回の訪問は、私の勤務先で夏にNPO見本市が
あり、そこを企画したNPOから、取材ボランティアと
して、貴法人を訪問させていただいた、という背景を
お話した。
その後、事務局の方からご質問いただき、なぜ当法人
へ訪問されたのか、という点について回答した。
「チェンジ・メーカー」という本を読み、欧米では
アショカ財団やAcumen Fundといった、NPOの支援組織
あるが、それらの日本での状況はどういったものか、
というのが、Hands onで非営利セクターの事業に
かかわっている個別NPOを見る前に見ておきたい、
という考えがあったため。
取材ボランティアに興味をもったのは、将来NPOを
支援していきたいが、どのようなNPOが私は興味がある
のか知りたい、現場を見たい、という考えからで、
個人的には、NPOのgovernanceをfinance面から
サポートできるようになれれば理想、といった
将来への抱負のようなものを語ってみた。
こういうハブ組織に興味をもつ人は稀有ですねえ、
と少々嬉しそうに笑っておられた。
下記に示す記録の通り、大変、interviewに際して
協力的で、待ち時間を合わせて1.5 hoursもお話
してくださった。
○ 待ち時間の事務局の方との雑談とその後、専務が
いらっしゃってからの雑談。
欧米)
財団が先にありき
Bill Gates, ウォーレン・バフェットが代表例。
日本)
阪神淡路大震災を契機として、政策的にNPOができた。
80年代から、福祉、公害、etcのadvocacyの萌芽はあった。
90年代にNPOサポートセンターのようなNPOが設立されてきた
欧米視察に行った人達が、中間支援が発達しているのを見て
、立ち上げた。
1998年にNPO法立法後、一種のブームが起きた。当時は
ITバブルでネットベンチャーもブーム。NECで社会起業家
Programが出てきた。
その後、ブームが冷め始めた。背景には、立派なハコモノや
チラシの置き場がある、といったハード面ばかりが先走り、
ソフトである、スキルが未熟。
日本)
大半のNPOにとって、お金、人の獲得、支援をどうするかが
課題。
人は中間支援が補う。
お金は個別の会員組織に支えられる仕組み。
求められているneedsに応えられることが「支援」。
ex)長野、広島のNPO支援センター
会員比率 100のNPOがあるうち、2,30団体しか加盟
していない。
中間支援、NPOセンターのあり方を見直す時期にきている。
今までの場所などのハード面のみの提供では、ミスマッチ
、というturning pointにきている。
訪問先のNPOが手がける17分野のうち、6割が介護福祉、
高齢者サービス。
中長期的なサービス提供が重要で、そのためには、事務所
が必要であるのみでなく、ヘルパー、ケアマネージャー
といった人達こそ必要。ちょこっと寄付、というのは
モチベーションを高める要素にはなりにくい。
国際協力系のNPOには、Fund raisingを専門に請け負う
人材が配置されることも珍しくないが、介護サービス等
をてがける大半のNPOにとって重要なのは、ヘルパーの
待遇面。
2001年にNPO認定法人制度が成立したが、40,000のNPOが
あるなか、100団体しか認定NPO法人ではない。
認定されることが役に立つわけでも、寄付が増えるわけ
でもない状況がある。
10年前のNPO法立法に際して、NPOの代表などが、個人
としての責任を負担しなくて済むよう、また、成立の
手順の簡素化に焦点を絞った。寄付面等の整備には、
98年の立法時にあえて焦点をはずした。寄付面の整備
には、大蔵省、財務省との交渉になることが容易に予想
され、これを外すことで、前述の点の早期整備を目指した。
よく4人のkey playerがNPO業界では話題に上る。
山岡さん、松村さん、山岸さん(銀座・NPOサポート
センター founder)、田中直毅さん(NPO事業サポート
センター founder)、といった面々。その中の田直毅
さんは、70年代から英国に何度も視察で訪れていた。
NPO法なき80年代に、社団法人を設立するのに、特に
手続面で大変苦労されたという。人の確保、基金が
あることなどを条件に挙げられ、start up時で3,000
人いなければ設立を認めない、など、難題を突きつ
けられた、という。ゆえに、対完了相手の交渉は大変
タフであり、NPO法の成立を目指す際にあえて度外視
されたという。
つい最近までNPOにとって、地域・雇用環境が悪かっ
た。
NPOに「人は雇用するもの」という概念がなかった。
10年前はNPO=ボランティア、というのが行政側の
通念。生活費を保証し、組織の運営として、人、モノ
、金が必要である、という組織であれば当然の考慮が
なされていなかった。
人件費がものすごく低いシルバー人材センターの
待遇が参照値にされている。年収200万円。労働基準法
がおかしいのではないか。
長期的に見たら、NPOが疲弊してしまい、sustainable
ではない。
5年前くらいまで、NPOで「経営」というと、嫌悪
された。NPO事業サポートセンターでも研修会では
お金を払う。付加価値に対してお金を払う、という
当然のことに対して、当時は白い目をされた。
企業人=営利では参加が難しい。
○ Interview 本論 --- ここからが本題 ---
概要)
NPO法ができた直後から、1995年、阪神淡路大震災
神戸へ入っていった。
介護、子育て、芸術、といった、ばらばらの分野で
活動していた団体がヨコのつながりをもって、非営利
セクターが協業しはじめた。
NPO法
法人格を取得して、過度の責任負担がNPOの代表者に
かからぬよう、といったことが可能になった。その後
、NPO設立増加に対応できるよう、訪問先NPOは設立
された。
そして、会計や運営サポート講座も展開。これまでに
500団体の設立支援にかかわってきた。
3つの事業の柱)
@設立支援(NPO法成立後以来)
A人材育成(次の世代をどうつくっていくか)
B非営利協働セクター分野での今後の政策提言
具体論)
今、日本各地のNPOサポートセンターは、social infra
としての実質・実体をもてていない。
新しい特性、経団連、商工会議所が手がけているような
政府と交渉したり、といったコーディネーション機能
など、実質を備えていく必要がある。
日本のNPOは地域を有形、無形で担っているが、
ドラッカーがいう、「市民活動が基本」、というその
「市民活動」のコンテクストごと共有できていない。
英国のEngland, ScottlandにはNPOに実体がある。
国とNPOがcompactを結んで行政サービスを担ってもらう
、という関係が存在する。
また、オーストラリアでも英国のようなNPOの実体・
実質があり、仮にNPOがストライキを起こすと大混乱
を引き起こすであろう、というほど社会に根ざしてお
り、それが公的に認知されている。
日本でも実はそうなのであろうが、公的な認知が不足
している。メディアで社会起業家が取り上げられたり、
チャリナビで取り上げられたり、というのは、こうした
認知度の低さを改善する上で良い事だと思う。一方、
メディアに取り上げられずともなくなってしまったら、
相当インパクトのある、昔ながらの地味で地道なNPOの
活動、支援も存在すると思うし、むしろ、メディアに
取り上げられるような派手さがなくとも、人々に求めら
れるそうした活動こそが大事とも思う。だからこそ、
訪問先NPOでは、どんなNPOからも支援を求められれば
支援を拒むことはしない、という。
日本に1億円を超える事業規模の法人は全体の4%に過
ぎない。ゆえに、大規模な寄付金をもって、大規模な
広告宣伝を打って、また、ISLの手がけるNPOの人材教
育、といった欧米型のNPOの手法も最近出てきて非常に
良いと思うが、いるが、忘れてならないのはNPOに参加
する人達は普通の人達がほとんど、ということ。
10/17に専務主催でNPO見本市を代々木公園で開催した。
NPOに興味がある人達だけでなく、普通の人がふらっと
訪れる。そんな入り方でもいいからNPOを知ってもらえ
る機会を設けられてよかったと思っている、という。
今後の10年)
10年間で団体の数は増加したが、その質は?
個人芸をどうsystemにしていくか、今後10年の
ひとつの課題。
40000団体あっても、社会努力としてまだ弱い。
玉石混合である。
半数以上が人を雇えるかという状況。
チャリナビ、NPO塾など、後進の育成の土壌もできて
きてはいるが、これまでの10年間を引っ張ってきた
人達も高齢化している。今後、どう次世代に継いでい
くべきか。
Interview後記)
はじめてのボランティアで、初取材、である。
最初にここに来て、本当によかった、というくらい、
お聞きした話の数々は刺激に満ちていた。
話の後半で出てきたことだが、訪問先NPOでは、昨年末
の派遣村のニュースを契機に、雇い止めにあってしまっ
た方々の雇用支援をするため、介護サービス分野への転
職を可能ならしめるため、ヘルパー資格の取得支援事業
や、農業従事志望者の教育支援などを手がけておられる
。新聞の記事で見ていたNPOの活動結果そのものを手がけ
ておられる方々を目の前にして、少々の興奮を覚えた。
NPOのハブ機能が本来の設立趣旨では?との問いかけ
に対し、設立直後のNPOでは困難な事業計画力、関係省
庁、政治家への働きかけができるのは、これまでの実績
がある訪問先NPOならでは。もちろん、事業主体
になるのが本来の目的ではなく、時代のneedsに即した
事業を立ち上げ、軌道に乗せた後には、他の団体へ
hands offしていく予定である、という。
こうした、非営利事業のインキュベーション機能を
備えた組織は社会にとってはとても心強い。
国会審議を経て、法制化や国家事業として手がけた
り、国家でなくとも、地方自治体で手がけよう、と
いう場合、審議に時間がかかるあまり、迅速に時代
の変化に即応できないことも少なくないのではないか
。
「求められているneedsに応えられることが『支援』」
という専務の言葉を地でいく組織の実行力に今後の
さらなるご活躍を期待したい、と思った。
best regards,
kenji.



